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東京高等裁判所 昭和24年(う)81号 判決

被告人

金政二

主文

本件控訴は之を棄却する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

弁護人松井久市の控訴の趣旨並被告人の控訴の趣旨は末尾添付の各控訴趣意書記載の通りであつて之に対する当裁判所の判断は次の通りである。

弁護人松井久市の控訴の趣旨第一点に対する判断

酒税法第六十條所定の罰金刑は其の製造に係る酒類に対する酒税十倍に相当する金額が十万円を超ゆるとき十万円を超え其の酒税十倍以下に相当する罰金に処し得ることを規定して居るから同法第六十條第二項の規定は十万円を超え違反酒類の酒税十倍の金額以下の罰金に処すべき場合に之を適用すべきものであることは洵に所論の通りであるけれども原判決を査閲するに原判決は判示第一の事実に対して同法第六十條第二項を適用したものとするのは弁護人の独断であつて其擬律した條文の配列順序より之を判断すると判示第一の事実に対しては包括的に同法第六十條を適用して居ることが明かであるから罰金刑に付ては同條第一項を適用すると共に本件犯情に依り同法同條第二項に從ひ之に懲役刑を併科したものであること明白であるのみならず酒税法違反の事実認定をするに当つては其の製造酒類に付て必ず何斗何升何合と正確に其の数量を確定することを要するものではなく事実の同一性を確定し得る程度に於て之を認定することを以て足ること論を俟たぬところである從て本件に於て被告人の製造した燒酎の数量を約二斗と認定したことは正当であつて弁護人の援用する本件記録に現はれている各事実によるも判決に影響を及ぼすべき審理不盡又は事実誤認等の違法があり又原審が被告人に対し懲役壱年及罰金二万円に処し右懲役刑に付ては三年間其の執行を猶予したのは量刑重きに失するものと信ずるに足る理由がない弁護人の右主張の如き控訴の事由は理由ありとは謂はれない論旨は理由がない

同第二点に判する判断省略

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